ログハウス,歴史

丸太組構法（ログハウス）技術基準
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丸太組構法（ログハウス）の技術的基準および解説
　ログハウスの技術基準等の概要を解説いたします

前ページ（定義）

＜丸太組構法とは何か？＞

1.2日本（戦前）における丸太組構法

東大寺「正倉院」は，奈良時代・天平宝字3年(西暦759年)以前には建設されていたとされているが，
高床の大規模な校倉造（あぜくらづくり）倉庫で、聖武天皇・光明皇后ゆかりの品をはじめとする，
多数の美術工芸品を収蔵していた施設である。1000年以上に渡り東大寺が管理していたが，
現在では宮内庁の管轄となっている。

古くから校倉は湿季には校木が膨張し密着して湿気を遮断し，乾季には収縮し自然換気の作用をし，
宝物・蔵品の保存に有効であるとされ、近年では木材の湿度調節機能により，建物外の温度や
相対温度の大きな変動を校倉が緩衝するといった効果が認められている。

そのほか大規模な校倉建築としては，上高地の帝国ホテル(1933年建設，1977年建替え)が有名である。

1.3外国における丸太組構法

アジアの校倉造はヒマラヤ周辺や中国南部に見られるが，これらを南方系とみなすならば，シベリヤ
東部や朝鮮半島の一部に存在したものは北方系と見てよかろう。なお，シベリヤ東部の丸太組構法は，
16世紀から19世紀にかけ，シベリヤ開発に伴いロシア西部から東遷したものである。

ヨーロッパでの丸太組構法は，古くはスカンジナビア半島，東ヨーロッパ，ロシア，南ドイツ，スイス，
オーストリアと広く分布していたが，今世紀に入りその数は減少している。
スカンジナビア半島，アルプス地方，ロシア，トルコでは丸太やその半割が用いられたが，
南ドイツからチェコやスロバキアにかけては長方形断面の木材が校本に用いられ，仕口も精巧であった。

アメリカの丸太組構法は，元来スウェーデン式構法だと言われている。1638年に東海岸のデラウェアー
に定住したスウェーデン人により建てられた構法の壁交差部仕口はプロジェクト・タイプであった。
ニューイングランドに最初に定住した英国人は当初本国式のフレーム構法で家を建てていたが，
スウェーデン人やドイツ人の技法を見習い，丸太組構法に同化されて行った。こうして17世紀末から
ペンシルバニアの英国系のセトラーの間に丸太組構法が普及したのである。そして17世紀末頃から丸太に
代わり長方形断面が増え，壁コーナーの接合部も斧を使いフラッシュにするものが増えて行った。
丸太組構法が普及したのは，第１に楔，粘土，石灰モルタル等を丸太の隙間に埋め込むことにより
気密壁ができ，寒さ対策ができたこと，第２にはフレーム構法よりも剛強で外敵の侵入を防げたこと
が理由として挙げられる。こうしてアメリカでは独立戦争（1775～81年）の頃までには，メインから
テネシーにわたる広範囲の地域でフロンティア住宅として丸太組構法が普及していったのである。

1.4日本（近代）における丸太組構法

　丸太組構法を用いた建築物は，以前は主に別荘を目的としたものが多かったが，今日では，
住宅としての需要が多くなってきている。（約4割が住宅,約3割が別荘・セカンドハウス）
　昭和61年3月29日の建設省告示第859号が公布されるまでは，丸太組構法は，建築基準法第
38条の規定に基づき建設大臣の認定が必要であった。
（建築基準法施行令第３章第３節「木造」に規定される在来構法木造と，柱や筋かいがない
等の点で構法が違うため）建設大臣認定を取得したのは1970年以降1986年の告示公布まで10
社であった。告示の公布以降も，延べ面積や高さ，耐力壁で囲まれる面積等が告示で定めら
れた範囲を超えることにより大臣認定を取得した丸太組構法の建築物は多く，平成14年国土
交通省告示第411号に反映されている。
　以下に旧法第38条の認定を受けた丸太組構法の概観とその特徴を記載する。

（1）使用樹種（校木に使用する樹種）
　①　国産材：杉が最も多く，他に，ひのき，からまつ，えぞまつ，とどまつ等
　②　欧州材：欧州赤松，ドイツとうひ（北欧レッドパインはフィンランド産が中心）
　③　北米材：米杉が最も多く，米栂，スプルース，ダグラスファー（米松）等

（2）校木の断面形状
　①　マシンカット（主にフィンランド製）は,長方形の断面形状が多い
　②　ハンドカット（主に北米製）は,円形系統の断面形状が多い

（3）壁交差部の仕口（ノッチ部分の主流）
　①　すべてプロジェクト・タイプである。
　②　長方形系断面では，上下面を交差部で欠いた，鎌型（又は渡り腮：ｴﾗ型）が多い
　③　円形系断面では，下面を交差部で鞍（サドル）型に欠いたものがに多い
　　（北欧や北米ではこうした噛み合わせ形式が多い）

　通しボルトは，昭和40年代に法第38条に基づく建設大臣の認定取得に当たって，丸太組壁の
せん断耐力を交点耐カ（通常１交点当たり数100kg程度）に基づいて評価した事と関係する。
丸太組壁の交点を単独に水平加力試験をすると壁が転倒するので，交点壁のせん断耐力を高め
るために交点壁の両端部に通しボルトを挿入することになった。

　丸太組壁の転倒要因は，水平力の大きさと丸太組壁の形状（高さ／長さ）である。
建築基準法で想定している風圧力や地震力に対しては，丸太組耐力壁線が５ｍ程度以上あれば
丸太組壁が転倒することはないと考えられるが，この告示においては外壁の耐力壁相互の交差
部には通しボルトを設けることを原則とし，耐力壁線が風圧力や地震力によって転倒しないこ
とが許容応力度計算によって確かめられた場合は省略することができる。

（4）だ　ぼ
　水平力（せん断力）に壁が抵抗するためには，丸太材間にだぼを設ける。材質は鋼製（スチ
ール）や木製がある。だぼ穴は、だぼを無理なく，かつ，遊びなく打ち込める寸法とすること
が必要である。

（5）壁の脚元
　昭和40年代の終わり頃から布基礎に鉄筋が挿入されるようになったが，それまでは無筋コン
クリートが一般的であった。傾斜地の場合は布基礎に加えて独立基礎が必要になる。
　布基礎の上にはログと同樹種か，土台用加圧式防腐処理木材等を用いる場合がある。これら
の部分をアンカーボルト（13～19φ）で布基礎に緊結する。

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※「丸太組構法技術基準解説及び設計・計算例」より、一部抜粋